研究室関連ニュース

ここでは、北大・森林生態系管理学研究室の関連ニュースをブログ形式でお伝えしています。

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セミナー案内【東大・直江将司さん】

下記の日程で、東大でポスドクをしている直江さんにセミナーをしてもらいます。
お忙しい時期ですが、関心のある方はぜひいらしてください。

1月21日(月)
時間:15:00~
場所:N303

スケール依存の動物行動によって決定される液果樹木の種子散布パターン
直江将司(東京大学農学部特任助教)

植物全体の3分の1以上で見られる種子散布様式である動物散布では、動物の行動によって散布パターンが決定される。そのため、風や水流を媒体とする散布様式に比べて散布パターンを決定するメカニズムが複雑である。動物の行動のうち、生息地選択と採餌行動が種子散布に強く影響していると考えられる。生息地選択、採餌行動はそれぞれ異なる空間スケールの要因、すなわち生息地選択は景観スケールでの要因、採餌行動には生息地スケールでの要因によって決定されているだろう。よって、散布パターンを理解するためには、それぞれの空間スケールで働く要因の相対的重要性や影響の違いを知ることが必要である。本研究では、果実食鳥と彼らに種子を散布される液果樹木6種を材料として、景観・林分スケールのそれぞれにおいて、どのような要因が動物の行動を介して種子散布に影響しているかを明らかにし、散布パターンを決めるメカニズムの解明を試みた。調査は茨城県北茨城市にあるブナ林である小川群落保護林を中心に行った。その結果、景観スケールでは生息地の形や液果群集全体の果実量が果実食鳥の個体数の変化を介して、果実の持ち去りに影響することが分かった。また、林分スケールでは液果群集全体の果実量が果実食者の餌利用や採餌範囲の変化を介して、果実の持ち去り・種子散布距離に影響していることが分かった。以上から、景観スケールで果実食者が生息地選択を行うことで森林内の果実食者の個体数が決定され、林分スケールで果実食者がどのような採餌行動を行うかで最終的な散布パターンが決定されることが示唆された。